袖振り合うも多生の縁!「クラウドアトラス」

2014-03-28

日本映画のコラムなのですが、日本文化とのドンピシャ具合が感激だったので、

今回は「クラウドアトラス」をご紹介です。

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6つの章からなる各年代のエピソード記。 SFあり、コメディあり、ボーイズラブ、クライムアクションに社会派問題も。

手塚治虫の「火の鳥」やグリフィスの「イントレランス」にもつながる壮大なお話です。

監督は「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟なのですが、なんと姉弟になっているんです!

お姉様のことを思うと作中におけるマイナー人種への温かな眼差しに胸が熱くなります。

それぞれのエピソードで映画作品1本になりそうな話を見事に分断し、 その先が気になるところで、他のエピソードに流れて行ってしまう構成は、 よく見ると、マスターピースとなる小物や関連事項がちらちらつながっていく不思議なつながり。

その「もやもやした繋がり」を描こうとしてる点がこのハリウッド映画の面白さです。

いわゆる観客側は神の目でみるのですが、作中の叙事詩には決定的なつながりがあるわけでもなく、 輪廻転生の合理性を探すと、観客はブラックホールに陥りそうです。

共通している部分はそれぞれの登場人物が、一瞬の間で意志ある行動にでることで希望がつながっていく姿のみ。

そんな未確定な未来を描くことに驚き、合理性でも神秘性でもない現実的な東洋思想の着地点をついていました。 ここで描きたかったのは、終わりも始まりもない流れのなかで一つの人間が存在し、 どこかでその人のお役目が他者に反映してしまう面白さなんだと思います。

目の前の勝ち負けではなく、

来生への期待でもなく、

自分が意志を持ち徳をつむという行動のみが、

幾ばくかの時を経て化学変化をおこしうる幽かな希望になる。。。

この作品の日本人が感じている普段の思想へのピントの合い方に、じわじわ感動してしまいました。

ものすごく抽象的な実験映画の域に達しているような文章になってしまいましたが、 やっぱりそこはハリウッド仕様なので、話のテンポや見どころはたくさんあります。

ハリウッド俳優の七変化(まさかの答え合わせ付き)による出演も見ものですよ!

 

あらすじ

茜色の映画館

 

 

 

 


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