舞踊という言葉について

「舞踏」butouという言葉は、元来古代に中国から伝えられた言葉
意味は、「労働より発生して詩歌・音楽と結びついた人類最初の芸術形式」
しかし、明治に入り、この言葉は西洋のダンスを指すようになる。
明治37年坪内逍遙が、「舞踊」buyouという言葉を造語として使用する。
それまでは、「舞まい」「踊おどり」「所作事しょさごと」と言っていた。
外国語に翻訳するために、演劇、劇場、音楽など多くの造語がつくられた時代です。
「舞」と「踊」の代表的な定義

「舞」
旋回運動
西日本
上半身
宮中舞楽の流れで上質
神や為政者に対する貢献芸能
仮面系芸能

「踊」
跳躍運動
東日本
下半身
庶民
自ら陶酔するもの
非仮面系芸能

参考文献

この文献からの分類でいうと
踊を跳躍運動としている。が、日本の踊りは、踏む動きのが多い様な気がする。
踏むということは、人間にしかできない。もともと踵をつけて歩くのは人間だけですね。
つまり大地を踏むことは、大きな意味を持った。人間の特権だから・・?
踏むことは呪術的意味も同時に持つようになった。相撲の四股とかも神事です。
能では、足拍子が響くように舞台のしたを空洞にして瓶をおくような建て方がされる。
歌舞伎や日本舞踊の所作舞台も足拍子の響きを考慮している。
所作事を、拍子事ととも呼ばれていた。
このように踊るという時、踏むという行為が重要視されていたようです。
これは、同時に農耕民族である日本人が、足をしっかり踏ん張って仕事をすることを
生活の基盤にしていたことも大いに関係していると思います。
もう一つの参考文献

この本では、日本人が足場の悪いぬかるんだ田んぼで作業するため踵しっかりつけて
作業していたのに対し、西洋では、馬に乗り遊牧していた。
自然踊りも、跳躍運動が多くなりリズムは、ワルツ、そしてつま先で立つようなった。
バレエが遊牧民の多いロシアで、開花したのもそのせいなのではないか?
つまり、踵をつけて歩くことが人間の特権だとしたら、西洋でもそうなったはずなのに
日本において定着したのは、やはり農作業の影響なのかもしれない。
そう思いと、踊りはやはり生活に根付いたものだったのだろうか。


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