メソッド演技について
もとは、ロシアのスタニスラフスキーという人が、モスクワ芸術座で
それまで、朗朗と歌のように台詞を言っていたのをリアリティある手法に転換した。
ちょうど、その頃はロシア革命もあり、成功が絶対条件でしたので、成功を納めました
その後、その手法を確かなものにするために、俳優を訓練するためのマニュアルを
考案したわけです。いわば、政府のお墨付きで発展したわけです。
ただ、彼はキリスト教徒ではありませんでした。そこでリーストラスバーグという人が
アメリカでも受け入れやすいようにそのシステムを構築しなおしたのが
いわゆるメソッド演技なわけです。(無茶苦茶な概論ですが、汗)
これが基本的には、現在のハリウッドシステムのベースとなっているわけです。
そして、我々日本人はこのシステムを輸入して、使っているわけです。
歌舞伎の有名な役者さんまでが、推薦していますので、ほぼ日本では正統派
とういうことになるわけです。
しかし、かなり日本の演劇をこけおろしていまして、本当かと思って
原文まで買ってしまった。笑 参考文献 メソードへの道
こうしてみると、日本の文化のことは、理解していないというか、知りたくもないわけです。
あまり宗教のことは、書きたくないのですが、リーストラスバーグがキリスト教用に
修正を加えたのだとしたら、
同じようにある程度内容を日本に合わせることも必要だと思われます。
まず日本語のタイトル「メソードへの道」ですが、
英語のタイトルが A dream of passion です。どう訳すのですか?
もちろん、この言葉は、ハムレット(シェークスピア)の台詞の抜粋ですが、、
日本では、passionといえば、情熱だとか、熱中など良い意味で使われますが
語源的には、ネガティブで、苦しむということですよね。
The Passion といえば、キリスト教では受難の事を表します。
まさか演技の訓練が苦しむことを目的としているのだとしたら、、、こわいですね。
そして、表現はexpression。
これは、小林秀雄さんの「表現について」で書かれていますが
<expressionという言葉は、元来蜜柑を潰して蜜柑水を作る様に、
物を押し潰して中味を出すという意味の言葉だ。>だというのです。
もし、これら語源のような内容なら、演技は自分を追い込んで
それをぶち破るように出てくる物を表現することになるわけです。
好みの問題になりそうですが、そういう訓練が好きな人には合うでしょう。
その反面、情緒不安定やアルコール中毒、また麻薬に走ったりと問題点が多いのも
確かなわけです。とはいうものの、日本人はそんなに真剣にそういう事をしないので
そこまで、病む人が多いわけではありません。
つまり、このシステムで、そういう患者があまり出ない日本では
もともと向いてなかったのでは?と思ったりもします。
そんなことよりも、僕が感じているのは、こうしたシステムというものは
何か大きな矛盾を抱えながら、進んでいるということです。
僕の中では、これらのパズルにはまらないピースたちが
増えていくことに違和感を感じるのです。
自己主張しないとけないのにリラックスしろとか
目ぢからが大事なのに、表情は穏やかにしろとか。。。
実際、矛盾をみとめている本もあります。
演技と演出のレッスン 鴻上尚史
こうした、はずれっぱなしのピースが、日本の伝統芸能を紐解いていると
僕の中では突然、パズルの中にはまりだしてくるのです。
ともすると精神論で片付けられてしまう日本の伝統芸能の技は、
もしかしたら、とてもテクニカルな話で、
しかも矛盾のない方法論なのかもしれません。
ただ日本では、一度正しいというレッテルの貼られた物に異を唱えるのは
大変なリスクをともないますので、このあたりで失礼させて頂きます。
もちろん、僕も若い頃は、まったく信じて、このシステムを一生懸命勉強しました。笑