諏訪の神 戸矢学

 御柱祭

寅申歳七年毎に五丈有余の巨大な樅の柱を上下両社とも夫々社殿の四隅に新しく曳建を行う行事

1.山出し 山から巨木を伐り出す
2.御柱街道 茅野市安国寺の御柱屋敷まで人の力だけで引き摺り回す
上社の御柱にはV字型の角のようなメド梃子が柱の前と後ろに付けられる。
これでコントロールする「おんべ」をふる
3.川越し 幅約40メートルの宮川を突っ切る
川を越えてまもなくのところに御柱屋敷があり、里曳きまで安置される
4.御柱休め 前回の建御柱から6年間建ち続けた古い御柱を撤去する
5.里曳き 本宮までゆるゆると、また賑々しく曳いて行く行事。
それまでの激しい曳き回しとは打って変わって華やかな祭り。
6.建御柱 御柱祭のフィナーレが建御柱である。各宮の四隅に一本ずつ建てる。
冠落とし 曳いて来た御柱の頭を三角錐に切り落とす
御柱に何本ものワイヤを取り付けて垂直に建てる。そして根元を固める。穴埋めの儀
7.宝殿遷座祭 御柱祭開始の前に宝殿造営がおこなわれ、御柱里曳きの前に遷座祭が行われる。正式名称は式年造営御柱大祭諏訪大社上社本宮宝殿遷座祭という。

 ミシャグジ

一、神奈備(かんなび)kwam-nabi
二、神籬(ひもろぎ)hyi-i-morogi
三、磐座(いわくら)yiwa-kura
四、靈(ひ)hyi-i

「かんなび」は神隠の意味で、神の居る山、すなわち神体山として崇敬、信仰されるもの。富士山に代表される左右相称の独立峰が多いが、峰が二つ(二上山)、あるいは三つ(三峯山)、などもある。
このタイプの神道信仰は、三輪山と大神神社(奈良)、白山と白山比咩神社(北陸)、大山と大山阿夫利神社(神奈川)、岩木山と岩木山神社(青森)など。
中には、大神神社のように三輪山そのものを御神体として、神社には本殿を設けず、拝殿のみという形のものもある。ちなみにここの鳥居は横木がなく、左右に一本ずつ立てられた柱に注連縄を渡しただけというシンプルなものである。

「ひもろぎ」は、神籬、霊諸木などとも記す。神の依り代たる森や樹木で四方を囲み、注連縄を張り巡らして中央に幣帛などを立てた祭壇のこともある。いずれにしても森、または疑似森で、神の住まう場所、降臨する場所のことであり「鎮守の森」の原型ともいえる
伊勢の神宮の別宮である滝原宮は、その典型

「いわくら」は、磐座は巨石のことで、それ自体が神の依り代である。また磐境は環状列石であって、結界を造り出している。両方の組み合わせであることが多い。
熊野速玉大社の元宮である神倉神社はその典型である。

「ひ」は、太陽信仰ことである。太陽光を集めて火を生み出すことから「火の信仰」でもある。また「風の信仰」「空気の信仰」でもある。太陽は地上すべてのものに降り注ぐところから、森羅万象に神々の遍在すること、すなわち精霊の意として靈とする。

宗教的には、石は無生物、無機物ではない。神や霊は神籬(常磐木)とともに「磐境」に宿ると考えられ、祭祀は磐境でおこなわれることが多い。大和の三輪山などはその顕著な例で、文化宗教としての神道の祭は拝殿でおこなわれるが、これに先立つ自然宗教の祭祀は三輪山中の磐境でおこなうのである。

(「石の宗教」五来重)

 

 

 

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