数字で分かる お江戸のくらし 山本博文

 武士の礼服

 礼服の種類を大別すると、「束帯(そくたい)・衣冠(いかん)」、「長直垂(ながひたたれ)」、「狩衣(かりぎぬ」、「大紋(だいもん)」、「素襖(すおう)」、「直衣(のうし)」、「肩衣長袴(かたぎぬながばかま)」の七種類に分けられる。束帯・衣冠は大礼服と呼ばれ、将軍宣下や朝廷行事などの重要儀式において、将軍が着用した最も格の高い礼服である。平安時代以降から用いられ、束帯の構成は下から、単、袙(あこめ)、下襲(したがさね)、半臂(はんび)、袍(ほう)着用。袴は大口袴、表袴を重ねて履いた。着用が許される者は稀で、まさに権威の象徴とも言える。
 長直垂は、鎌倉時代以降の武士の礼服であり、江戸時代では高級官位をもつ大名の殿中での礼装で、将軍をはじめ御三家らが着用した。他者と区別を図るため、将軍は高貴とされる紫、嗣子(将軍の後継となる子)は緋色の直垂を着用していたという。長直垂に継ぐ武家の礼服として用いられたのが狩衣である。その名の通り狩り際に着用されていた服で、ほかと比べると動きやすいつくりのため、普段着としても使われていた。
 そのほか、上下ともに家紋を大きく染め抜いた大紋は官位五位以上、大紋を略装しあた素襖は官位六位以下の武士が着用。色目や文様が自由に決められた直衣は、将軍家の通常礼服として利用された。
 最後に、江戸の時代劇でよく見られる、俗に長裃とよばれる肩衣長袴は、大名や高家、御目見得以上の旗本など広く用いられた通常礼服である。現代でいうことろのスーツに該当する服だ。ただし、江戸末期には、現代でも冠婚葬祭で着用されている紋付羽織袴が一般的になり、肩衣長袴は廃れていった。
 

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