和の身体作法 安田登
コアの筋肉群は、ふだんは意識されてもいませんし、ほとんど使われてもいませんが、まっすぐな姿勢をつくるときにも、安定した動きを生み出すときにも非常に重要な筋肉群なのです。
このコアの筋肉群によって生み出される姿勢、動き、発声によって能が舞われるから、能楽師は高齢になっても現役を続けられるのではないだろうか、そう気がついたのです。
むろん能では、深層筋やコアの筋肉群などという言い方はしませんし、意識もされてはいません。
それは例えば「腹に力を入れろ」などという言葉によってされます。しかし、腹に力を入れると、今度は「力むな、力を抜け」と怒鳴られます。力は入れるけども、力んではダメ。最初は全然分かりません。この葛藤の中でもがいていると、いつの間にか、お腹の表層筋はゆるめたまま、コアの筋肉群だけに力が入れるということができるようになります。
そして、それを体が覚えたときに「コア意識」ができるのです。
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