身体感覚で論語を読み直す 安田登

「礼」-二つの心的態度の間にあるもの

 子曰く、恭にして礼なければ則ち労し
 慎にして礼なければ則ち葸し、
 勇にして礼なければ則ち乱し、
 直にして、礼なければ則ち絞す

 同じ「正直さ」でも、自分も他人も元気になる正直さもあれば、
 自分を苦しめ、他人を傷つける正直さもあります。その違いは
 ただ、「礼」の有無だけで、その人自身に問題があるわけではない。

自他を変容させる通過儀礼

 「人を動かす力」、「神霊と交信する力」としての礼は、社会の中では自他を変容させるための通過儀礼として発展していきました。現代でもそれは、結婚式や入学、卒業式、成人式などさまざまな儀礼として残っています。
 孔子は自分の子である伯魚に「礼を学んだか。もし礼を学ばなければ立つことができない」と言いました。「論語」の最終章にも「礼を知らなければ立つことができない」とあります。礼は「立つ」ための不可欠なものなのです。
 「立つ」とは自立です。

 

身体感覚で「論語」を読みなおす。―古代中国の文字から

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