日本文化としての将棋 尾本惠一(編著)

将棋、この玄妙なるもの

 第二次世界大戦後、わが国の封建的遺訓、ないしは軍国主義的残滓の一掃を急いだ連合軍最高司令部GHQは、何と、わが愛すべき将棋の存在に難癖をつけたという。「将棋は”野蛮な”ゲームである。チェスと違って女王の駒がないのはバランスを欠き、男女差別といえよう。また捕獲した相手の駒を駆使して、曾ての味方と戦わせるのは、戦時捕虜の虐待を禁じたジュネーヴ条約に抵触し、戦時法規の違反にほかならない・・・・。」笑止千万、これは異なことを承るとばかり、敢然と反論したのは、戦後の棋界に旋風をまきおこした風雲児、升田幸三であった。ただちにGHQ に赴いた彼は、「女性を危険から護るため、戦陣に伴わざるは、わが国古来の美徳である。また捕獲した駒の使用は決して虐待や酷使ではなく、敵を赦し味方と同列に扱うもので、”教化遷善”の思想にもとづく・・・・。」と説いて、将棋界存亡の危機を救った由。

 

日本文化としての将棋

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