侍クラブ体験 その2
侍クラブ体験 その2
前回は、ウニョウニョした感覚を利用して、腕を上げることをしました。
これは、居付きをなくすためにも大変重要なことだと思います。
本来このことでお話を進めれば、分かりやすいと思いますが
その前に、やっておかないといけない基礎がありますので、
話が変わりますが、ご了承下さい。
刀は、両手を使う武器です。当たり前の事の様ですが、実は世界的に見ますと
武器を両手で扱うのは、不利になりますので、案外珍しい様です。
では、なぜ両手なのか、
*片手で相手を押してみる-09
日本の技芸とか技とかいわれるものはすべて両手を使うようです。
片手間には、出来ないと言うことなのでしょうか?
これは、骨と体幹を使って動くという事だと思います。
実は、この効果は自分だけにとどまりません。
周りの人にも影響を及ぼすようです。
次に襷掛けをしてみますが、この紐は体幹を使って動く事をサポートしてくれるようです。
*襷掛けをして動く-10
日本の所作がなにを目指しているのかがなんとなく分かってきたと思います。
では、次に型の文化ですけど、一体どういうことなのか
簡単な例をあげて、体験してみましょう。
*指をさしてみる-11
型をとると、全体性が得られるようです。全身を使おうと意識すれば、
その意識が邪魔になりますので、型を使うわけです。
何かを意識して集中しようとしても、同時に集中できるのは、せいぜい2,3個
だと思います。スポーツでも演劇でも、注意することが多すぎて一度に
すべてを網羅することは無理でしょう。
それを練習で克服して、最後は無意識でも出来るようにするというわけですが、
昔の日本人は最初から意識をはずして取り組んでいたわけですね。
指をさすのは、人差し指ですがこの指は、指の中でも一番思い通りに動く指ですので、
逆に意志の力が、入りやすい指になります。
ですから、意志が入ることを嫌う場面では、違う指を使い、工夫をしていたようです。
*人差し指と薬指-12
次に重要になってくることが中心感覚ですが、これも考え方が今と昔で違うようです。
現代の私たちはどうしても、科学的で客観的な見方をしてしまうようです。
中心のとらえ方の違いで動きまで、変わってくるようです。
動きのタイミングの取り方も、両肩を使っているようです。試してみましょう。
*タイミングをとる-13
では、いよいよきりおろすわけですが、その前に手拭いで練習しましょう。
手で振り下ろすのではなく、中心感覚と身体全体を使う練習になります。
*手拭いぬき-14
この、引くという日本特有の文化感覚を使ってみるわけです。
ここまで来ると、考え方の根本的相違からもわかるように
昔の人の言葉や文献なども現代の考え方で解釈していたのでは
ほんとうに伝えたかったことが理解できないような気がしてきます。
そこで、現代の解釈にとらわれずにいろいろ考え直してみるようにしています。
書籍・「脳と刀」より、極意の言葉を抜粋しました。
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一刀流の極意
「太刀を振りかぶり、相手の後ろ姿を捉えたときにそのまま振り下ろせば
必ず相手を斬ることができる。」
と、もう一つ、弓道の達人、阿波研造のことば
「的を狙ってはいけない。心を深く凝らせば、的と自分が一体のとなる。
自分自身を射なさい。」
相手の後ろ姿を捉えるとは?このことは本の中でも、どうして?と疑問をもってます。
普通相手は、こちらを向いて闘うはずで、その後ろ姿をどう捉えろというのか?
しかし、極意として伝えているからには真実であるはずだと。
そこで侍クラブでは、こう解釈してみました。
これは、日本特有の迎え入れではないでしょうか?
日本の技は、相手の懐に入るか、相手を迎え入れてしまいます。
諸外国の技が相手を突き放すことが多いのとはかなり違います。
そこで、相手を完全に自分の中に引き込むには、前を向いていたのでは
自分と重ね合わせられません。相手の背中を捉えて初めて一心同体となり得るのです。
次の言葉もそうですね。的を迎え入れています。自分と一心同体になれば、自分を
射抜けば良いわけで、それは確実に当てることが出来るわけです。
ということは、一刀流でいうそのまま振り下ろすのは自分を斬ることです。
自分の背中をばっさり斬りおとせば、相手は死んでいるわけですね。
そんなことを思いながら、この斬る行為をしていますと、
擬似的に自分を斬って、相手を斬るというのは、どこかお祓いのようだなと
感じてくるのです。不思議です。それで、ああそうか
だから、もっとも血を嫌う神聖なはずの神道が、
その名を使うことを許す神道流があるのかなと?
もちろん、剣は三種の神器の一つでもあるわけですから、神聖なものですけどね。
それでは、入門プロジェクトの最後のまとめとして振り下ろしてみましょう。
振り下ろす-15
人それぞれ感じたことは違うと思います。
正解はありませんので、何かのヒントになることを祈っています。
もし、さらに興味をもたれましたら、是非、侍クラブ稽古会へお越し下さい。